高校のプログラミング教育、実際に何を学んでいる?2022年に必修化した「情報I」のすべて

「高校でも、いまは全員がプログラミングを学んでいる」——そう聞いて驚く保護者は少なくありません。2022年度から、高校に 「情報I」 という必修科目が新しく生まれ、すべての生徒がプログラミングやデータ活用を学ぶようになりました。さらに2025年からは、大学入学共通テストでも「情報」が出題されるように。この記事では、文部科学省の資料をもとに、高校で本当に学んでいる中身と、大学入試までのつながりを図解で解説します。
※ 義務教育は小学校・中学校までで、高校は義務教育ではありません。ここでは「必修科目として全員が学ぶ」という意味で必修化と呼んでいます。

高校情報科が「選択」から「全員必修」へ変わった 2022年度、高校の「情報」が全員必修になった 〜2021年度(旧課程) 社会と情報 どちらか 情報の科学 1科目を選択 2022年度〜(新課程) 情報I 全員が必修で学ぶ
かつては2科目から1つを選ぶ形だった。新課程では全員が共通の「情報I」を学ぶ必修科目に変わった。

2022年、全員が「情報」を学ぶ時代に

まず、何が変わったのかを整理します。

2021年度までの高校では、「情報」の授業は 「社会と情報」「情報の科学」 という2科目のどちらか1つを選んで学ぶ形でした。学校によって、プログラミングをしっかり扱う学校とそうでない学校に差がありました。

2018年に告示された新しい学習指導要領で、これが大きく変わります。2022年度の入学生から、全員が学ぶ共通必履修科目 「情報I」 が新設されました。これにより、すべての高校生がプログラミング・データ活用・ネットワークの基礎を学ぶことになったのです。さらに発展的な選択科目として 「情報II」 も用意されています。

必修科目「情報I」4つの内容

「情報I」は、大きく4つの内容で構成されています。プログラミングはその一部で、もっと幅広く「情報を活用する力」全体を学ぶ設計になっています。

必修科目「情報I」の4つの学習内容 「情報I」で学ぶ4つの内容 情報社会の問題解決 情報モラル・セキュリティ・法と社会 コミュニケーションと情報デザイン 伝わる表現・デザイン・メディア コンピュータとプログラミング アルゴリズム・プログラミング・シミュレーション 情報通信ネットワークとデータの活用 ネットワーク・データベース・データ分析
青で示した③と④が、いわゆる「理系的」な内容。プログラミングとデータ活用が、必修として全員に求められるようになった。

注目すべきは、①②のような情報リテラシー・デザインの内容と並んで、③④の プログラミング・データ活用 が全員必修になった点です。かつては一部の生徒だけが学んでいた内容が、いまは「全高校生の共通教養」になりました。

プログラミングはどこ?──第3章「コンピュータとプログラミング」

直接プログラミングを扱うのが、3つ目の 「コンピュータとプログラミング」 です。ここでは、次のようなことを学びます。

  • アルゴリズム: 問題を解く手順を考え、フローチャートなどで表す
  • プログラミング: 実際にプログラム言語で書いて動かす(条件分岐・繰り返し・関数・配列など)
  • モデル化とシミュレーション: 現実の問題をコンピューターで再現し、予測・分析する

小学校・中学校では「ブロックを組み合わせる」形のプログラミングが中心でしたが、高校では 本格的なテキストのプログラミング言語 を使い、より実用的なアルゴリズムを扱います。学校によって Python などの言語が使われます。

もう一つの主役「データの活用」──第4章

意外に思われるかもしれませんが、高校「情報I」のもう一つの柱が データの活用 です。表計算やデータベースを使い、たくさんのデータから傾向を読み取り、根拠をもって判断する力を養います。

これは、社会全体で「データにもとづいて考える(データサイエンス)」力が重視されるようになった流れに対応しています。プログラミングとデータ活用は、これからの時代の「読み書きそろばん」とも言われる基礎力になりつつあります。

さらに学ぶ「情報II」(選択科目)

「情報I」で土台を作ったうえで、より深く学びたい生徒のために 選択科目「情報II」 が用意されています。ここでは、情報システムの設計、データサイエンス、コンテンツの創造など、より発展的で専門的な内容に踏み込みます。大学の情報系学部や、IT分野の進路を考える生徒にとって、力強い助走になる科目です。

大学入試が変わった:2025年「情報」共通テスト

高校の必修化と連動して、大学入試も大きく変わりました。

2025年(令和7年)1月の大学入学共通テストから、教科 「情報」(情報I)が新たに出題されるようになったのです。多くの国立大学が、原則としてこの「情報」を受験生に課す方針を示しており、「情報」はもはや一部の生徒のための科目ではなく、進学にも関わる主要教科になりました。

2025年から始まった大学入学共通テスト「情報」の概要 大学入学共通テスト「情報」(2025年〜) 2025年〜 共通テストで出題開始 約30万人 初年度の受験者数 60分 国立大は原則課す
2025年1月の初実施では約30万人が受験。試験時間は60分。多くの国立大学が原則として課す方針を示している。

まとめ:小・中・高でつながる学び

小学校編・中学校編とあわせて3記事で見てきた、プログラミング教育の流れを1枚にまとめます。

小・中・高・大学入試へとつながるプログラミング教育の階段 小・中・高から大学入試まで、一本道でつながる 小学校 気付く 中学校 問題解決に使う 技術・家庭科 高校 体系的に学ぶ 必修「情報I」 +選択「情報II」 大学入試 共通テスト 「情報」 2025年〜
小学校の「気付き」から始まり、高校・大学入試まで一本の道でつながっている。早い段階の積み重ねが効いてくる。
  • 高校では2022年度から、全員必修の 「情報I」 でプログラミング・データ活用・ネットワークを学ぶ
  • 「情報I」は4つの内容。プログラミングは 「コンピュータとプログラミング」、データ活用は 「情報通信ネットワークとデータの活用」 が中心
  • より深く学ぶ選択科目 「情報II」 もある
  • 2025年から大学入学共通テストで 「情報」 が出題され、多くの国立大が原則課す

こうして見ると、プログラミングはもはや「一部の得意な子のもの」ではなく、小学校から大学入試までつながる全員の基礎学力になりつつあります。だからこそ、いきなり高校で本格的な内容に出会って戸惑うより、早い段階で「作る楽しさ」と「考える力」に触れておくことが、その後の大きな差につながります。当教室では、小学生から高校生まで、それぞれの段階に合わせて HTML / CSS / JavaScript で実際に動くものをつくりながら、学校の学びの先を伸ばしていきます。

出典:文部科学省「高等学校学習指導要領 情報科関係資料」、文部科学省「高等学校情報科『情報Ⅰ』教員研修用教材」、文部科学省「平成30年改訂の高等学校学習指導要領に関するQ&A(情報に関すること)」、大学入試センター「令和7年度大学入学共通テスト」関連資料

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