
「教室で何やってるか分からない」を解消——子どもに聞くといい質問
「月謝を払って通わせているのに、何をしているのかさっぱり分からないんです」——面談や体験レッスンの場で、保護者の方から本当によく聞く言葉です。帰り道に「今日何やったの?」と聞いても、返ってくるのは「ゲーム作った」「別に」。心配になりますよね。
でも、これはお子さんがサボっているサインでも、教室が何もしていないサインでもありません。子どもは「やったこと」を工程として言語化するのがとても苦手なだけです。この記事では、質問を少し変えるだけで教室での学びが見えてくる、具体的な聞き方をご紹介します。
「今日何やったの?」が機能しない理由
まず、なぜあの定番の質問が空振りするのかを整理しておきます。
プログラミングの1回の授業は、実際には「前回の続きを開く → 動きを確かめる → 新しい仕組みを足す → 動かない → 原因を探す → 直す → また足す」という細かい工程の連続です。ところが子どもの記憶に残るのは、その工程ではなく結果の一枚絵だけ。だから「ゲーム作った」としか言えません。嘘でもごまかしでもなく、それが本人にとっての正直な要約なのです。
もうひとつ理由があります。「今日何やったの?」は、答えの範囲が広すぎる質問です。大人でも「今日仕事で何やったの?」と聞かれたら「まあ、いろいろ」と答えたくなりますよね。子どもならなおさらです。
つまり必要なのは、聞く回数を増やすことではなく、答えの範囲を絞った質問に変えることです。
機能する質問7つ
教室で子どもたちと話していて「これは口が動く」と感じる質問を、そのまま挙げます。全部聞く必要はありません。帰り道に1つで十分です。
1. 「今日いちばん時間がかかったのはどこ?」
いちばんのおすすめです。「何をやったか」は言えなくても、「どこで詰まったか」は体感として残っているからです。詰まった場所こそ、その日いちばん頭を使った場所。この質問は、学びの核心にまっすぐ届きます。
2. 「先生に聞いたこと、自分で気づいたこと、どっちかある?」
「教わる」と「自分で見つける」を分けて聞く質問です。自分で気づいたことがあれば、子どもは聞かれる前から話したくてうずうずしています。話し始めたら、途中で口を挟まず最後まで聞いてあげてください。
3. 「思いどおりに動かなかったところ、あった?」
プログラミングは「動かない → 直す」の繰り返しでできています。失敗談を安心して話せる空気があると、子どもは失敗を隠さなくなります。「で、どう直したの?」まで聞ければ満点です。
4. 「それ、ちょっと動かして見せて」
言葉で説明させるより、画面を見せてもらうほうが早いことも多いです。教室の作品を家で開ける環境なら、月に1回くらい「発表会」をしてもらいましょう。説明が拙くても、動くものがあれば会話は続きます。
5. 「次の授業では何をやる予定?」
過去より未来のほうが、子どもは話しやすいことがあります。「次はスコアをつけたい」「敵を増やしたい」——予定を口にすることは、本人にとって小さな宣言にもなります。
6. 「前はできなかったのに、できるようになったことある?」
伸びを本人の口から言わせる質問です。すぐに答えが出なくても構いません。「そういえばキーボード速くなったよね」と、こちらが気づいた変化を渡してあげるのも効果的です。
7. 「隣の子はどんなの作ってた?」
自分のことは話せなくても、他の子の作品ならすらすら話せる子は多いです。他人の作品を説明できるのは、仕組みを理解している証拠でもあります。入り口としてとても優秀な質問です。
作品を見せてもらうときのリアクションのコツ
質問とセットで大事なのが、見せてもらったときの受け方です。
評価ではなく、プレイヤーとして反応してください。 「上手だね」「すごいね」という採点コメントより、「うわ、負けた!もう1回」と本気で遊ぶほうが、子どもは何倍も喜びます。作品は成績表ではなく、遊んでもらうために作ったものだからです。
結果より工程に触れてください。 「ここ、どうやって作ったの?」のひとことで、子どもは急に技術者の顔になって説明を始めます。説明の中身が分からなくても大丈夫です。分からないときは「へえ、それ考えたんだ」で十分伝わります。
改善案は求められるまで出さない。 「ここはこうしたら?」は、善意でも作品への駄目出しに聞こえてしまうことがあります。アイデアを言いたくなったら、「もし敵がもっと速かったらどうなるの?」と質問の形で渡すのがおすすめです。
保護者の方がプログラミングに詳しい必要はまったくありません。詳しくないご家庭のサポートのコツは プログラミングが分からない親でもできる家庭サポート に別途まとめています。
それでも話してくれないときは
質問を変えても無言、という時期はあります。それ自体は珍しいことではなく、集中して取り組んでいる時期ほど口数が減る子もいます。
見てほしいのは言葉ではなく行動です。教室に行くのを嫌がっていないか。家でふと作品を開いていないか。 この2つが保たれていれば、学びはたいてい続いています。逆に「行きたくない」が出てきたときは、質問の工夫より先に原因を探るほうが先です。そのときは 子どもがプログラミング教室に行きたがらないときの見極め方 を参考にしてください。
また、入会前の段階で「教室の様子がどこまで見えるか」を確認しておくのも有効です。確認ポイントは 体験レッスン前に保護者が確認したいことFAQ にまとめています。この記事は、いわばそのFAQの「入会後版」です。
現場から
教室で見ていて分かることを、いくつか正直にお伝えします。
授業の終わりに「今日やったことをおうちの人に説明してごらん」と促しても、すらすら工程を説明できる子はごく一部です。学年はあまり関係ありません。手はしっかり動いていて、仕組みも理解しているのに、言葉にはならない。プログラミングの理解と言語化の力は、別々のペースで育っていくものだと感じています。ですから「説明できない=身についていない」とは、どうか結びつけないでください。
もうひとつ。当教室では、Scratchから Python や HTML / CSS / JavaScript といった文字で書く言語への移行に2〜3年かけます。つまり、保護者の方から見て「ずっとScratchをやっているように見える」期間が長く続くのは、設計どおりの姿です。同じScratchでも、中で組んでいる仕組みは少しずつ複雑になっています。「変わり映えしない」と感じたときこそ、今日の質問リストの出番です。
ちなみに、体験レッスンに来るお子さんの約4割はタイピングが未経験です(小学校低学年に多く見られます)。入会から最初のしばらくは「プログラミング以前に、パソコンの操作そのものを覚えている」時期でもあります。この時期の「今日何やったの?」への答えが薄いのは、なおさら自然なことです。
今日からの一歩
- 今日の帰り道(または夕食時)に、「いちばん時間がかかったのはどこ?」を1つだけ聞いてみる。 質問は1回に1つ。面接にしないのがコツです
- 月1回の「見せてもらう日」を決める。 言葉で聞き出すより、動くものを一緒に遊ぶほうが会話は続きます。リアクションは評価ではなくプレイヤーとして
- 答えが「別に」でも落ち込まない準備をしておく。 見るべきは言葉より「嫌がらずに通っているか」。それが保たれていれば、学びは進んでいます
この記事を書いた教室について
Kidsプログラミングラボ 秋葉原教室 — Scratchの「楽しい」で終わらせず、Python や HTML / CSS / JavaScript という"本物の言語"まで進ませたい小中高生の家庭に、つまずきポイントと伸び方の地図を渡す、秋葉原の実店舗スクールです。
この記事の質問リストは、教室で子どもたちと毎週話す中で「これは口が動く」と確かめてきた聞き方です。体験レッスンでは、お子さんが実際にコードを書いて画面が変わる瞬間まで体験できます。お子さんとの相性をその場で確かめてください。