
ジュニア・プログラミング検定など「子どもの検定・資格」ガイド
「プログラミングって、英検や漢検みたいな検定はないんですか?」——保護者面談でときどき出る質問です。あります。それも、Scratchで受けられるものから、大学入試の「情報I」を見据えたものまで、対象年齢の異なる検定がいくつも。
この記事では、2026年時点で実施されている主な子ども向けプログラミング検定の全体像と、それ以上に大事な「検定を何のために使うか」を整理します。先に結論を言うと、検定は合格証をもらうための道具ではなく、学習のペースメーカーとして使うのが一番おいしい、というのが教室としての見解です。

なぜプログラミングに「検定」があるのか
プログラミング学習には、他の習い事にない悩みがあります。進み具合が外から見えないことです。
ピアノなら曲の難易度で、水泳なら泳げる距離で、親にも成長が分かります。ところがプログラミングは、画面の中で何が起きているのか、親には判別がつきにくい。「うちの子、進んでるんだろうか」という不安は、この見えなさから来ています。
検定は、この見えなさに共通のものさしを入れる仕組みです。級やレベルという段階があることで、いまどこにいて、次に何を目指すのかが、本人にも親にも見えるようになります。

主な検定3つ——対象と中身
2026年時点で実施が確認できる、子どもが受けやすい主要な検定を3つ紹介します(受験料等は改定されることがあるため、申込前に公式サイトでご確認ください)。

1. ジュニア・プログラミング検定(サーティファイ/Scratch)
サーティファイ(情報処理能力認定委員会)が実施する、Scratchを使った実技試験です。Entry(4級)→ Bronze(3級)→ Silver(2級)→ Gold(1級)の4段階で、問題文の条件を満たす作品をScratchで実際に作って完成させる形式。上位級では既存プログラムの修正課題も出題されます。受験料は級により2,900〜3,500円程度、試験時間は30〜50分です。
Scratchで学んでいる小学生が最初に目指す検定として、位置づけが分かりやすいのが特長です。「知識を問う筆記」ではなく「作らせる実技」なので、普段の学習の延長線上にあります。
2. プログラミング能力検定(プロ検)
株式会社プログラミング総合研究所が実施。レベル1〜6の6段階で、ビジュアル言語(ブロック)とテキスト言語(Python・JavaScript・Java)から選んで受験できます。受験料はレベル1の2,200円からレベル6の8,800円まで、試験時間は各40分、合格ラインは60%です。
この検定の面白いところは、ブロックの言語から文字の言語へ、同じ検定の中で乗り換えられる設計になっている点です。上位レベルは高校の「情報I」の内容と接続するとされており、小学生から高校生まで一本の階段でつながります。大学の総合型選抜等で評価対象になる場合があることも公式に案内されています。
3. 日商プログラミング検定
日本商工会議所が実施する検定で、ENTRY → BASIC → STANDARD → EXPERTの4レベル。受験料はENTRY 3,300円〜EXPERT 6,600円(税込)です。ENTRYはScratchが題材で小学生でも受けられますが、上位レベルはより実務・一般向けの色が濃くなります。商工会議所という実施団体の知名度は、履歴書的な意味では強みです。
どれを選ぶか——迷ったらこの順で考える
いまScratchで学んでいる小学生 → ジュニア・プログラミング検定が学習内容と一番地続き
この先Pythonなどテキスト言語へ進む予定がある → プロ検はレベル設計がその移行と噛み合う
高校の「情報I」や入試まで見据えたい → プロ検上位レベル、あわせて共通テスト「情報I」の記事も参考に
検定の正しい使い方:「合格」を目的にしない
ここからがこの記事の本題です。
検定には、はっきりした落とし穴があります。合格が目的化すると、プログラミングが「過去問を解く教科」になってしまうことです。プログラミングの面白さの核は「自分の作りたいものを作る」ことにあるので、検定対策だけが学習になってしまうと、本末転倒が起きます。
私たちがすすめる使い方は、検定をモチベーション設計の道具として使うことです。具体的には3つの役割だけを持たせます。
ペースメーカー — 「◯月に受ける」と決めると、学習に自然な締め切りが生まれる。だらだら期の解消に効きます
客観的な現在地 — 教室の先生でも親でもない第三者が「ここまでできている」と認めてくれる。これは本人の自信の質を変えます
次の目標の言語化 — 「次はSilver」「次はレベル3」と、本人が自分の目標を自分の言葉で言えるようになる

逆に言うと、本人が乗り気でないのに親主導で受けさせるのは、おすすめしません。検定は薬にも毒にもなる道具で、効くのは「本人がちょっと欲しがっている」ときだけです。
検定とコンテスト、どう使い分けるか
目標設計の道具としては、検定のほかにコンテストもあります。性格はかなり違います。
検定 — 決められた課題をクリアする。確実に段階を踏める。「積み上げ型」の子に合う
コンテスト — 自由に作品を作って応募する。順位はつくが、作る過程そのものが財産。「作りたいものがある型」の子に合う

どちらが上ということはなく、その子の性格とタイミングで選ぶものです。コンテストの全体像は小中高生向けプログラミングコンテストガイドにまとめてあるので、比べてみてください。検定もコンテストも、途中で挫折しそうなときの支え方は共通しています(参考: 初心者が挫折しないための進め方)。
現場から
正直にお伝えすると、当教室では検定合格の実績はまだ確認できていません。その上で、教室で子どもたちを見ていて言えることを書きます。
伸びる目標設定には共通点があります。「いまの実力より半歩だけ上」であることです。検定で言えば、いま余裕で解けるレベルを受けても退屈で、二段飛ばしを狙うと苦行になる。「たぶん受かるけど、ちょっと練習が要る」くらいの級を選べたとき、子どもは一番集中します。級選びは本人と教室の先生と、実力を知っている人間で相談して決めるのがよいです。
もうひとつ。体験に来るお子さんの約4割はタイピング未経験です(低学年に多く見られます)。テキスト言語系の検定はタイピングが前提になるので、焦って上位検定から入らないでください。Scratch系の検定から入って、文字の言語への移行(私たちの教室では2〜3年かける道のりです)に合わせて検定も乗り換えていく——この順番で十分です。全体の道のりはScratch→Webの学習ロードマップにまとめています。
今日からの一歩
お子さんの現在地に合う検定をひとつだけ調べる(Scratch学習中ならジュニア・プログラミング検定の公式サイトのサンプル問題から)
「受けてみたい?」と本人に聞く。乗り気かどうかが、検定が薬になるか毒になるかの分かれ目です
通っている教室があるなら、級・レベル選びを先生に相談する。「半歩上」の見極めは、実力を見ている人と決めるのが確実です

この記事を書いた教室について
Kidsプログラミングラボ 秋葉原教室 — Scratchの「楽しい」で終わらせず、HTML / CSS / JavaScript という"本物の言語"まで進ませたい小中高生の家庭に、つまずきポイントと伸び方の地図を渡す、秋葉原の実店舗スクールです。
検定を目指すにしても、まずは「いまの実力の半歩上」がどこかを知るところから。体験レッスンでは、お子さんが実際にコードを書いて画面が変わる瞬間まで体験でき、現在地の見立てもその場でお伝えできます。お子さんとの相性をその場で確かめてください。
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