
「情報II」とは何か——情報Iの先にある選択科目と進路
「情報Iは共通テストに出るって聞いたけど、情報IIっていうのもあるの?」——高校の科目案内を見た保護者の方から、こういう質問をいただくことが増えました。あります。そして情報IIは、必修の情報Iとはかなり性格の違う科目です。
この記事では、情報IIの位置づけ(選択科目であること)、何を学ぶのか、大学入試や進路とどう関係するのか、そして中学生のうちにできる準備を整理します。高校の「情報I」で何を学ぶかの続編です。
情報IIの位置づけ:必修の「情報I」の上に乗る選択科目
まず制度の整理から。2018年告示の高等学校学習指導要領で、高校の情報科は「情報I」(必修)と「情報II」(選択)の2科目に再編されました。全員が学ぶのは情報Iまでで、情報IIは情報Iを履修した生徒が、さらに発展的に学びたい場合に選択する科目です。授業としては2023年度から順次始まっています。
つまり構図はこうです。
情報I — 全高校生が共通して学ぶ必修科目。プログラミング・ネットワーク・データ活用の基礎
情報II — 学校が開設していれば選べる発展科目。情報Iの内容を前提に、より専門に近い領域へ
ここで大事な現実がひとつ。情報IIを開設するかどうかは学校によります。教員体制の問題もあり、すべての高校で選べるわけではありません。志望校選びの段階で、情報IIの開設状況は確認する価値があります。
何を学ぶのか:データサイエンスと情報システム開発が2本柱
学習指導要領上、情報IIの内容は次のまとまりで構成されています。
情報社会の進展と情報技術 — 情報技術が社会・仕事をどう変えてきたか、法や制度との関わり
コミュニケーションとコンテンツ — 目的に応じた情報デザインとコンテンツ制作
情報とデータサイエンス — データの収集・整理・分析、統計的な手法、機械学習の基礎
情報システムとプログラミング — 情報システムの設計・開発・テスト・運用、プロジェクトの進め方
情報と情報技術を活用した問題発見・解決の探究 — ここまでの学びを使った探究活動
保護者世代の感覚で言うと、(3)と(4)が目玉です。(3)データサイエンスでは、回帰分析や分類・クラスタリングといった、大学のデータサイエンス系学部や実務のデータ分析につながる手法を扱います。(4)情報システムでは、プログラムを1本書くだけでなく、「システムを設計し、分担して開発し、テストして運用する」という開発の全体像を学びます。これは職業としてのソフトウェア開発の縮図です。
情報Iが「全員が持つべき情報の教養」だとすれば、情報IIは「その道に進むかもしれない人のための入り口」と言えます。
大学入試との関係:共通テストの範囲は「情報I」まで
ここは誤解が多いので、はっきり書きます。大学入学共通テストの「情報」で出題されるのは「情報I」の範囲で、情報IIは共通テストの出題範囲には含まれていません(2026年10月時点。2027年度試験までは出題科目が「情報I」のみと公表されています。制度は変わりうるので、受験学年では大学入試センターの最新の発表を確認してください)。
では情報IIは入試に無関係かというと、そうではありません。関係の仕方が違います。
総合型選抜・学校推薦型選抜 — 情報系・データサイエンス系の学部では、情報IIで取り組んだ探究や制作物が、志望理由や提出資料の実質的な中身になりえます
大学入学後 — データサイエンス系・情報系学部の初年次内容と情報IIは重なる部分が多く、履修しておくと接続がなめらかになります
進路の見極めそのもの — 「この分野を大学4年間やりたいか」を、高校のうちに教科として試せる機会は貴重です
共通テスト「情報I」側の話は、プログラミング学習と大学入試——共通テスト「情報I」で詳しく書いています。
情報IIを選ぶのはどんな子か
向いているのは、おおよそこういうタイプです。
情報Iの授業が「物足りなかった」と感じた子
将来の選択肢に情報系・データサイエンス系・理工系が入っている子
部活や趣味でプログラミングや制作をしていて、それを教科の探究として深めたい子
逆に、共通テスト対策としてだけ考えるなら、上で書いたとおり範囲外なので優先度は下がります。「入試に出るから取る」ではなく「進みたい方向にあるから取る」科目——これが情報IIの正しい捉え方だと思います。
中学生のうちにできる準備
情報IIまで視野に入れたとき、中学生の間にやっておくと効くことは、実はかなり地味です。
1. タイピングと「文字で書くプログラミング」への移行を始めておく。 情報II の内容は、テキストのプログラミング言語(PythonやJavaScriptなど)を道具として使えることが前提に近くなります。ブロックの言語から文字の言語への移行は、私たちの教室でも2〜3年かけて進める長い道のりです。高校に入ってから始めるより、中学のうちに助走を始めておくほうが、時間の余裕が全然違います。
2. 「データを見て何か言う」経験をしておく。 難しい統計は不要です。部活の記録でもゲームのスコアでも、数字を集めて、グラフにして、「ここから何が言えるか」を考える。データサイエンスの入り口は、この習慣そのものです。
3. 小さくても「作品を完成させる」経験を積む。 情報IIの探究や情報システム開発で効いてくるのは、断片的な知識より「最後まで作りきった経験」の数です。全体の道のりはScratch→Webの学習ロードマップを参考にしてください。
現場から
教室でPythonやWeb制作を学ぶ中高生を見ていて感じるのは、「授業で出会う前に、道具として触っていたかどうか」の差です。同じ内容でも、初めて見る記号の羅列として出会うのと、「あ、これ知ってる。書いたことある」として出会うのとでは、授業の景色が変わります。
もうひとつ、正直な観察を。体験に来るお子さんの約4割はタイピングが未経験で、これは低学年に限った話ではありません。情報I・情報IIの学びの土台には、地味ですが「手がキーボードで止まらないこと」があります。派手な先取りより、この足回りを整えることのほうが、高校での学びには効くと私たちは考えています。
今日からの一歩
志望候補の高校が「情報II」を開設しているか調べる。学校のカリキュラム表やパンフレットで確認できます(開設していない高校もあります)
お子さんが中学生なら、タイピングの現状を一度見てみる。文字入力で手が止まるかどうかは、5分見れば分かります。教室が作った無料ゲーム「ゴーゴービット!」のタイピング特訓(60秒スコアアタック)なら、スコアで現在地が客観的に分かります
数字を1つグラフにしてみる。ゲームのスコアでも読書記録でも。データサイエンスの入り口は家庭で今日から始められます
この記事を書いた教室について
Kidsプログラミングラボ 秋葉原教室 — Scratchの「楽しい」で終わらせず、HTML / CSS / JavaScript という"本物の言語"まで進ませたい小中高生の家庭に、つまずきポイントと伸び方の地図を渡す、秋葉原の実店舗スクールです。
情報I・情報IIで学ぶテキストプログラミングへの助走は、中学生からでも始められます。体験レッスンでは、お子さんが実際にコードを書いて画面が変わる瞬間まで体験できます。お子さんとの相性をその場で確かめてください。